そして、小南は恥ずかしそうに口をゆっくり開いた。
どうか……紘也じゃありませんように……。
少しだけ……心の中で願うぐらい、許してもらえるよね?
「実はね……私、紘也が好きなんだ」
「っ!」
私は思わず言葉を失った。
ウソ……小南が紘也を?
「紘也って………?」
「もう、紘也っていったら1人しかいないでしょ?原野紘也!」
原野、紘也……それは間違いなくあの紘也だ。
私の胸がチクチク痛み出す。
なんで……神様はこんなにイジワルなんだろう。
私をどれだけ苦しめたら気が済むの……?
小南と紘也が両想いなんて……もう、私がいくら紘也を思ったって無駄ってことじゃん。
もう……紘也のことは諦めるしかないってこと、だよね。
思わず、涙が出てきそうになって私は小南に笑顔を見せた。



