「……小南、幸せそうだな」
「そうだね」
紘也と私は目を見合わせて笑う。
これで、また平凡で平和な日々に戻る。
幸せな日々が……またかえってくるんだ。
自分の席に向かう途中、不意に自分の席でケータイをいじっていた更科くんと目が合う。
その瞬間、ヒヤッとした。
なにか……言われるかな。
そう思ったけど、更科くんは少し気まずそうな表情をして視線をケータイに戻した。
よかった……。
更科くんはきっともう、なにもしてこないよね。
小南が入院している間も、私になにもしてこなかったし。
前と変わらない、平和で平凡な日々。
でも、1つだけ違ったことがある。
「……小春、はよ」
「……っな、成月くんっ!お、おはよう!」
そう、私の成月くんへの意識だ。
好きだと自覚してからまともに目を合わせられない。
それに、ありえないぐらいに心臓がバクバクする。
成月くんに話かけられた瞬間、2人だけの世界に行ったような感覚になる。
周りの声も全く耳に入ってこない。



