「……更科、目ぇ覚ませよ」
「なに言ってんだよ。はやく小南ちゃんを返せ!」
ダメだ、これ以上更科くんになに言っても通じない。
「小南小南うるせぇな……」
成月くんもムカついた様子で頭をくしゃくしゃ触った。
「小春は小春だ。他の誰でもねぇんだよ!!!」
「……っ」
成月くんが急に大きな声を出すから、私も更科くんも肩を揺らした。
「もうこれ以上小南と小春に近づいたら……お前の命はないからな」
こんなに怒った成月くん……初めて見た。
思わず体が震える。
「行くぞ、小春」
「う、うんっ」
成月くんは私の肩を抱き寄せて、教室を出た。



