「小春ちゃん、全く気付かないからびっくりしちゃった。でも俺の予想通り、ちゃんと取りに来たんだね」
「か、返してよ!」
更科くんのところに駆け寄って、奪い返そうとするけどひょいっと避けられてしまう。
ダメだ……身長が足りない……。
もうここは仕方ない。
筆箱は諦めて教室に戻ろう。
私は更科くんをすり抜けて、教室を出ようとした。
が、ドアを閉められて阻止されてしまった。
「逃がさないよ、小南ちゃん。今度こそは小南ちゃんは俺のモノにするんだから」
「え……?」
“小南ちゃん”……?
「私は小南じゃな……」
「なに言ってるの?どこからどう見ても小南ちゃんじゃん。俺の大好きな小南ちゃん……」
更科くんは人が変わったみたいにそう言って、私の頬に触れた。



