「小春(こはる)ー!食堂行こー!」
「あ、うん、今行くー」
夏が終わって少し涼しさを感じられるようになった10月のある昼休み。
私はお財布を持って教室を出た。
「小春、歩くの遅いっ!もっとサッサと歩いて!」
「小南(こなみ)が歩くの速いんだよ~」
小南は高校1年の私、後藤小春の双子の姉。
私の唯一学校で話せる人の1人。
そう、私には友達がいない。
なぜなら―――
「ね、あれって後藤姉妹じゃない!?」
「本当だ!やっぱり小春と小南、全然似てないっ!」
「小春の方、暗いし地味だし小南と違って全然可愛くないよねー」
私と小南は双子なのに、明るい小南に対し、私は根暗で地味だからだ。