【完】キミに隠した恋するキモチ。







そしてお弁当を広げて2人で食べ始める。




パンを頬張る成月くんを見て、私はふと気が付いた。




「成月くんってさ、いつもパンなんだね」




私が聞くと、成月くんは一瞬動きを止めてまたパンを一口食べた。




「……あぁ、俺、母親いないから。それに、親父も毎日夜中に帰ってきて必要最低限の家事してまた仕事に行ってるからあんまり帰ってこねぇんだよ」




「そ、うだったんだ……」




私ってば、無神経に色々聞いちゃった……。




「そんな暗い顔すんなよ。俺が友達なのに今まで話してなかっただけだし」




「う、うん……」




「俺の母親はさ、俺を産んだと同時に死んだらしくてさ。親父、俺が不自由なく暮らせるようにって家事もして必死に働いてんだよ。体弱いクセに……ほんと、無理するよな」




そう言った成月くんの目はすごく寂しそうで……胸がぎゅっと締め付けられた。




こんな成月くん見たの、初めてだ。