「あっ、あの!」
私が声をかけると、成月くんはなにも言わずにこちらを見た。
「え、っと、色々気つかってもらってありがとうございます!」
今日初めて話したのに、気つかってもらってばっかりだった。
なんて迷惑なヤツなんだ私は……。
「私なんかと似てるなんて、紘也が無神経に言ったのにイヤな顔せずに気つかってもらったり、ノロマな私が食べ終わるのを待っていただいて……本当にすいません……」
私が言うと、彼は足を止めた。
ど、どうしたのかな……?
「なぁ」
「は、はい……っ!」
低くて透き通った声をした彼の声にドキッとする。
「俺、気なんてつかってねぇから。っつーか、気つかうのニガテ」
そう言って、また教室の方向へ歩き始めた。



