排気ガスが充満した空気に、渋い顔をしながら、地下鉄へと続く階段を軽快に降りる。
朝のラッシュは過ぎ、人もまばらになるかと思ったが、そこは大都会。
ホームには電車を待つ人々が、列を成し思い思いに時間を潰している。
ある者は携帯電話をいじり、ある者は新聞を読み…。

自分は電車を待つ間の時間潰しなど、何もないので、ただ列の後ろに並び電車を待った。

(ひとつ学んだわ。雑誌かなにか必要ね。)

確かにここに来るまで、電車を乗ってきたけど、誰も彼も携帯や雑誌、新聞などを持っていた。
自分が住んでいた町では、外の風景を見ていたら、あっという間に目的地に着いていた。
でも、こんなに薄暗い場所、ましてや地下鉄に、風景を楽しむなど無理な話だ。