短篇集






彼氏side




紗奈がこない。ちょっと待っててと言われたけどもう10分くらいになる。


忘れ物を取りに行くだけなのにこんなに時間がかかるはずがない。




迎えに行くか。




シーンとした廊下に響き渡るはしゃぎ声。




「紗奈…?」



男の声がする。それに紗奈と似てる声の女の子。



まさかと思い教室のドアを開けると、紗奈と…知らない男がいた。



『やった!奪い返せた!』



男の手にあったノートをひょいと奪い満面の笑みで言う君。


「紗奈。何してるの」



なんでそんな男といるの。なんで笑ってるの。なんで…楽しそうなの?




『あ…ごめん、待たせちゃって!』




笑顔だった君が段々、険しい表情へ変わる。



後ろにノートを隠しながら。




「いくよ」



紗奈の腕を掴み足早に教室をでた。



あのノートはただのノートじゃないことは分かる。なんで隠す必要があるの?まさかあの男と…。



そう考えると憎くてたまらなかった。



後ろで痛いと泣く彼女の声は届かない。



彼氏side終