それでもケイは、唇を動かす。


「綾花はほんとに天然だな。まだ分かんねぇのかよ。今日の試合、決勝戦でお前がいなかったら、負けていた。綾花があの場面で俺らの暗い空気を換えてくれたから、勝てたんだよ。今日の試合のMVPは綾花、お前だよ。サンキューな」


同時に、頭をなでるのをやめ、最後に軽く叩いて、ケイは綾花から離れた。



綾花はというと、その場で固まってしまった。


「なんだ、よかった。私、みんなの役に立てたんだね」


そう言って、ゆっくり微笑んだ。