「そのうち来るなにか」を3人で待っていると、坂の向こうから走ってくる複数の影が見えた。
「あっ、いたいた。おーい」
「ん?あぁ、おーい。こっちこっち」
手を振りながら走ってきたのは、茜。
その後ろに、ビニール袋を持った俊矢、2人で話しながら歩いてくるカイちゃんと祐。
「おせーよ、俊矢」
「ごめん、ケン。実は、レジが混んでてさー」
「なんだ、だったら連絡ぐらいしろよ」
「俺ら全員ケータイなんて持ってないだろ」
「あ、そっか」
あはは、とみんなが笑う。
でも私はみんなと一緒に笑う気分にはなれなかった。


