―カッキーン!!
打たれたボールは三遊間を抜け、左中間を抜けた。
センターがボールをホームへ投げるまでに9番の生還を許してしまった、花波守備。
同点という重い現実が花波チームに押しかかる。
千浜チームはやっと同点、勝つぞー、と気合十分だ。
花波守備は暗い空気に覆われてしまった。
何とかしなければ...と綾花は思った。
何とかしてこの暗い空気を明るい空気にしなければ...と。
綾花は大きく息を吸った。
そして...
「バッチこーいっっ!!!」
仲間も、相手も驚くのがわかった。
「どうしたんだよ、綾花」
隣でサードの守備に就いている和田君が訊ねてきた。


