矢野さん

 俺のペースで歩くと矢野はまた怒るだろうか……。

 からかい半分で歩くペースを上げてみた。

 すると矢野は俺の後ろを小走りでついてくる――。

 なんだかそれが親鳥の後を雛鳥が追いかけているようで思わず笑ってしまった。

 そんな様子を矢野が不思議そうに見ている――。

「どうかしました?」

「いや、別に」

 そう言うと再び矢野のペースで歩きだした。

 矢野のオススメの喫茶店に着き中に入った。

 落ち着いた雰囲気でアンティークを基調とした物が幾つか飾ってあった。

 歩道沿いの窓際の席に案内され席につく。