矢野さん

 花柄のワンピースにアイボリーのジャケットを着てブーティを履いている矢野。

 肩には靴と同じブラウンの鞄を掛け頭は緩いお団子をしていた。

 おかしい……。なんかおかしい……。

 いやきっとあれだ……夢で母親の泥パックした顔が出てきたからだ……。

 じゃないと納得出来ない――。

 ……あの矢野が可愛く見えるなんて……。

 下をジッと見つめて待っている矢野になかなか足が動かない。

 いやいや――!あの矢野だぞ?今日は祐子さんがいないから残念な顔が人並みに見えるだけだ!

 ……そうだ。よく見れば普通じゃん。ハハ――、バカだな俺。

 そう無理やり納得して歩みを進める。

 その間に変に緊張している自分がいた。