「遥が『はるる』いけるんなら『ハッピー』もいけるんじゃない?」


 右手を額に当てながら飽きれ気味に言うと――。


「ハッピーって呼ばれるのはちょっと恥ずかしくてヤダなー」


 おぉい!!恥ずかしいってなんだよ!お前ハッピーを俺のあだ名にしようとしてただろが!!つか、恥ずかしいってわかってんじゃん!!


 額に手を当てたままガックリ項垂れる。


「ごめんけど、普通に呼んでください……」


 項垂れたまま言うと、「えー……」という矢野の不満の声が聞こえた。


「じゃあ、ハッピーと春くんとはるる。どれがいい?」


 項垂れたままの俺に矢野が聞いてきた。


 今聞いたら春くんって一番まともな気がする……。もう何でもいいや……。


「春くんで」


 そう言うと、少し顔を上げ矢野を見た。


 嬉しそうに笑って俺を見ている矢野。


「じゃあ、今日から春くんよろしくね」


 そう言うと矢野は、今まで見たこと無いような満面の笑みを見せた。


 その顔があまりにも可愛くて……綺麗で……俺は何も言えなくなる。


 2年以上経ってもやっぱり俺は振り回されてばかりで、矢野にはたぶん……いや絶対、一生敵いそうにないみたいだ――……。



―END―