矢野さん

「俺は君と出逢えて幸せだよ。矢野さんはどう?俺と出逢えて……幸せ?」

 そう、優しく問いかけると矢野は微笑してゆっくり頷いた。


「うん……幸せ」


「……じゃあ、結婚しよう」


 そう言うと、テーブル下に隠していたジュエリーボックスを開いて両手で矢野の前に差し出した。


 矢野は目を丸くして、差し出されたジュエリーボックスを見つめる。


 そんな様子に息を呑む。


 受け取ってくれ!!


 願いを込めるように固まったままの矢野を、ジッと見つめた。


 目を丸くしたまま微動だにしない矢野――。


 あまりに突然で驚いているだけだろうか……。それとも……。


 暫くたっても受け取らない矢野に段々と不安が込み上げてくる。


 やっぱりまだ早すぎたのか?矢野は俺との結婚は考えてなかったのか……?


 いつまで経っても受け取らない矢野。


 駄目……なのか……?


 ジュエリーボックスを差し出した腕をゆっくり降ろしかけた時――。