矢野さん

「そんなの誰がいつ決めたの」


「今……私が決めた……」


 このヤロー!勝手に決めてんじゃねーよ!!


 恥ずかしそうに手をモジモジさせながら言う矢野をじとーっと目を細めて見つめる。


「1日1回とか無理だから」


「じゃあ……2回」


「回数の問題じゃない。好きな奴とは触れあっていたいと思うのは自然の事だろ?俺は矢野さんにもっと触れたい。矢野さんは違うの?」


 さっきまでモジモジしていた手を止め、矢野は俺に視線を向ける。


「だって……。すぐキスとかエッチしたら……私に飽きたりしない?」


 え――?


「私……顔も可愛くないし……チビだし……性格だって良くないし……。自分でもたまに思うの。なんで橘さんみたいな人が私を選んだんだろうって。だから……身体とかに飽きられたら……繋ぎ止めておくものがないから……」


 ――!?


 困った顔して無理に笑顔を作る矢野に胸が締め付けられた。


 そんな事を言わせてしまった自分の愚かさと、矢野が何故触れることを先延ばしにしていたのかを知り、居た堪れなくなった俺は力強く矢野を抱き締めた。