矢野さん

「ま、とりあえず良かったな。頑張れよ」


 吉澤はそう言うと、椅子から立ち上がった。


「じゃあ、俺急ぐから。またな」


「ああ」


 吉澤は食べ終わったお盆を持つと、早々に部署に戻っていった。


 未だ項垂れたままの向かいに座る赤崎に目を向ける。


「おい。ラーメン伸びるぞ?」


「いらない……お前にやる。お祝いだ、食べてくれ」


 赤座は項垂れたままハァと溜め息を吐いた。


 食べろと言われても……。


 半分以上食べたお前の食いかけラーメンなんか食べたくないんだけど……。しかも麺伸びてるし……


 項垂れる赤崎の前に置かれた冷めきったラーメンを見つめながらそう思ったが、赤崎が不憫に思えたので何も言わず、自分が食べた食器と一緒にそっと返却口へ戻した。


 気持ちは受け取ったよ……赤崎……。


 流石にあれは罰ゲーム並みで食べれないがな。