矢野さん

 クリスマスイブの次の日。


「「まーじーでぇー!!」」


 赤崎と吉澤の声が食堂中に響き渡る。


 あまりの声のでかさに耳が痛い。


「うるさいから静かにしろよ」


 日替わり定食のみそ汁を飲みながら二人を睨む。


「マジかよ!矢野さんと付き合うって!良かったな!」


 吉澤は嬉しそうにそう言うが、赤崎はへなへなと項垂れる。


「まじかー……先越された……」


 お前はいつまでもコンパ行って祐子さんにアプローチしないからだろ……。


 飽きれぎみに赤崎を見ていると吉澤が、はぁーと溜め息を吐いた。


「これで助かるわー俺」


「え?何が?」


 吉澤の意味深な言葉に聞き返した。