矢野さん

 自販機でホットのコーヒーと紅茶を買うと、軽やかな足取りで矢野の待つベンチへ向かった。


 矢野に紅茶を渡すと、「あったかい……」と呟いて両手で缶を持ち暖をとる。


 そんな仕草にもキュンとする。


 コーヒーを飲んで少し体を温めると、またイルミネーションを見て回った。


「んっ」と矢野に手を差し出すと恥ずかしそうに手を繋いで来た。


 きっと手を差し出す俺も恥ずかしいって事に、矢野は気づいてないだろう。


 すっげー嬉しいんだよ……。矢野と触れあえる事が――。


 もっともっと、矢野を知りたい――、そして俺を知って欲しい。


 ダメな部分もイイ部分もお互いを知って向き合って行けたら……いいなぁ……。


 そう思うと、繋いだ手をギュッと握りしめる。


 矢野と離れないように……。願いを込めて――。