矢野さん

 やった……。


 やった。


 やった――。


 やったー!ひゃっほー!!


 矢野の前では平然を装っていたが、もう嬉しくて嬉しくて叫びたくなったのを我慢していた。


 あー!やべっ!スキップしたくなってきた!


 だが流石に人前でスキップはできないので、ルンルンと鼻唄を歌いながら、足早に自動販売機へ向かう。


 最初は面倒くさい女だと思った。


 でも、自分の正しさを曲げず表に出す矢野に惹かれていった。


『我が儘』


 言い様は悪く聞こえるかもしれない……。でも二十歳を過ぎ社会人になると自分が思う事も言えなくなって行く。


 間違った事も、見てみぬフリをして社会の中で生きていく……それが大人だと思ってた。


 でも矢野は違う。小さい頃に教えて貰った正しさのまま、大人になったんだろう。