矢野さん

「つべこべ言わず俺と付き合え!」


 キレ気味に言うと、矢野が慌てて――。


「は、はい」


 と、返事をした。

 それを聞いてニヤッと笑うと矢野の頭に手を伸ばし、ポンポンと撫でる。


「これからよろしく」


 そう言うと、矢野は俯いて小さく頷いた。


 暫く俯いたまま矢野が動かない事を不思議に思い、顔を横にして覗き込むように見る。


「どうかした?」


 矢野は慌てて両手で顔を隠した。


「み、見ないでください……。嬉しすぎて……恥ずかしい……」


 俯いたまま顔を隠して言う矢野が可愛くて思わず笑みが溢れる。


「じゃあ、落ち着いたらまたイルミネーション見て回ろう。なんか飲み物買ってくるから待ってて」


 矢野にそう言うとベンチから立ち上がり、公園の入口付近にある自動販売機へ向かった。