矢野さん

「橘さん起きてますよね?寝言じゃないですよね?」


「……ああ」


「あ!もしかして私が夢見てるとか!?」


「……」


 矢野はそう言うと、俺に向けていた顔を前に向けた。


「夢だったらヤダなー。どうしよう……」


「……」


 矢野は少しうつ向いて両手を頬に当てる。


「もしかして!祐子さんに強引にそう言うよう言われてません?」


 何か思いついた様に、また俺に顔を向ける。そんな矢野に段々いらいらしてくる。


「無理しなくていいですから。あの人いつも強引――」


「だー!もう!うるさい!」


 いつまでも訳のわからない事を言って、返事をしない矢野に思わず怒鳴った。


 矢野が再び目を丸くして俺を見つめる。