「祐子さん。矢野さんは?」


「え?あー、まだ少し仕事残ってるみたいだったけど、もう出てくるんじゃないかな?」


「そっか」


「矢野さんと約束してるの?呼んでこようか?」


「いや、いいよ。ここで待ってる」


「そう……」


 祐子さんは不思議そうにそう言うと、俺をジッと見つめる。


「なに?」


 その視線に気づいて祐子さんに尋ねた。


「うん……。遊園地行った次の日から矢野さん元気なかったから、あの日の帰りに橘君と何かあったのかなって」


「……」


「でも、大丈夫みたいね。橘くんがここにいるってことは」


 祐子さんは笑ってそう言った。