仕事が終わり、矢野に電話をしてみたがまだ仕事中なのか繋がらなかった。


 仕方ない。こうなったら今から矢野の病院に行ってみるか。


 そう思うと、荷物をまとめ早々に会社を出た。


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 タクシーで病院に着くと、病院の前でもう一度矢野に電話をしてみたが、繋がらない。


 少し待ってみるか……。


 そう思うと、病院入り口前に置かれているベンチに腰を下ろした。


「さむ……」


 季節は12月上旬。


 コートの襟を立てポケットに手を入れ身を縮込めて寒さをしのぐ。


「あれ?橘君?」


 その時、病院から出てきた祐子さんが俺に気づいて声をかけてきた。