矢野さん

 会計が済むと、赤崎は祐子さんを送って行くからと二人で帰って行った。


「矢野さんはどうするの?タクシー?」


「あ、えっと……」


 矢野は照れたように俺から視線を外す。


「途中まで一緒に歩いて帰ってもいいですか?……その……まだ橘さんと一緒にいたいから……」


 顔を真っ赤にして俯き加減で言う矢野に、不覚にもドキッとした。


 ヤバイ……。なんか俺まで照れてきた……。


 俯いて紅潮した顔の矢野から視線を外す。


「あー……じゃあ一緒に帰ろうか」


 視線を外したままそう言うと、帰る方向へ歩き出した。


 歩き出した俺の左横に並ぶように矢野が小走りで来た。


 横目で矢野を見ると、嬉しそうな顔をしている。それを見て思わずニヤけてしまうのは、俺への矢野の気持ちが嬉しいからか……?