矢野さん

「私……どんなに橘さんに冷たい態度や酷い事言われても、諦めませんから」


「……」


「もう私の事好きじゃなくても、また好きになってもらえる様頑張りますから」


 そう言う矢野の顔は真剣で、その真っ直ぐの瞳は偽りがない様に思えた。


「それが伝えたくて……。忙しいのに時間取らせてごめんなさい。じゃあ、失礼します」


 矢野はそう言うと、俺に軽く頭を下げると帰っていった。

 その後ろ姿を俺は、ただ立ち尽くしたまま暫く見つめていた――。


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 自分のデスクに戻ると、矢野から貰ったケーキ箱を見つめる。


 正直、もう頭が真っ白で何も考えられない。


 それに、とてもじゃないが矢野から貰ったお菓子なんて今は食べる気がしない。