矢野さん

「俺の事バカにしてんのかよ!!なんで今更そんな事言うんだよ!!」


「それは――」


「前に黒田って奴に会った!その時アイツが矢野さんを置いて逃げたって事を聞いた!それからアイツと連絡とってないだろ!!矢野さんが言ってた好きな人って黒田の事だよな!?」


「――!?」


「黒田っていう奴に裏切られて、駄目になったから俺の所に来たんだろ!!」


「違います!!」


 今にも泣きそうな顔で矢野が必死に左右に首を振り否定をする。


「違わねーーーよ!!!」

 そんな矢野に今まで一番声をあらげた。


「…………ちがわねーよ……何が違うんだよ……訳わかんねー……」


 振られて必死に矢野に対する気持ちを忘れようと頑張ってたのに――。


 やっぱり好きでした。なんて言われて「はい、そうですか」て言えるかよ!


 矢野は俺に気持ちを伝えてスッキリするんだろうけど、言われた俺はどうしたらいいんだよ……。


 ぐちゃぐちゃだ……。もう自分の気持ちがわからない。


 この何とも言えない憤りを何処に向けたらいい――。何にぶつけたらいいんだよ……。