矢野さん

「私……気付いたんです……」


 矢野はそう言うと、下に向けていた視線を俺に向けた。


 その真剣な瞳に思わず息を呑む――。

 矢野は意を決した顔で俺を見つめたかと思うと、一歩俺に近づいて口を開いた。


「自分の正直な気持ちに……。私……橘さんが好きです」


 矢野の言葉の意味が一瞬わからなくて目を丸くして固まる。


 え……?





 


 えぇぇえええー!!


 俺の心境を気にすることなく矢野は話始める。


「今更こんな事言って――」


「ちょ!待って待って!!」


 慌てて矢野の話を遮る。


 全く理解出来ない展開に、俺の頭は完全に思考停止状態に陥っている。