矢野さん

 不思議に思いながらも、企画書を作るためキーボードを打ち始めた。


 だが、これから矢野と会うのかと思うと緊張と不安からか、なかなか仕事が進まない。


 こんな事なら家に持ち帰った方が良かった……。


 そう思うと、ハァっと小さなため息が漏れた。


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 それから30分程が経った時――。


 ヴーヴー、とデスクに置いた携帯が振動した。


 来た……。


 携帯を手に取りメールを開くと、案の定矢野からで会社に着いたと言うメールだった。


 仕方ない……。行くしかないか……。

 ハァーっと大きなため息を吐くと椅子から立ち上がった。


 エレベーターで1階に降り、会社を出ると少し離れた街路樹の所に矢野が待っていた。


 手には白のケーキ箱がある。


 矢野は俺に気づくと小走りでやって来た。