矢野さん

「ちょっ!矢野さん!?」


 矢野は一方的にそう言うと、俺の話を聞かず電話を切った。


 切られた電話を思わず見つめる。


 いや……いやいやいや!!意味わからん!!


 はぁ!?なに!?今から矢野と会うって事!?無理無理無理!! 心の準備が……。


 茫然と立ち尽くしていると、目眩がして来て思わずデスクに両手を付く。


 赤崎がいれば赤崎に取りに行ってもらうのにー!今日に限って残業って……いや、そもそも着信名確認してたら出なかったのに……。


 両手を付いたままハァーっとため息を吐いて項垂れる。


 確かに昨日、会いたいとは思った。だが実際本当に会うとなると……またあの複雑な気持ちをぶり返すのかと思うと正直怖いのもある。


 せっかく気持ちも落ち着いてきたのに……。