分かってた……初めて会った日から……。


 初対面で嫌いって言った女を助けてくれた時から――。


 祐介なら絶対助けてくれなかったと思う。でも橘さんは私を庇うように助けてくれた……。


 祐介と橘さんは違うって分かってた。


 でも、橘さんのあの嘘くさい笑顔を見ると祐介を思い出して酷い態度をとった。


 復讐だった。橘さんに重なった祐介への。


 違うのに……橘さんと祐介は全然違うのに……。


 そんな事したって何にもならないのに……あんなに優しい人を傷つけて……バカだ……。


 本当は――橘さんに手作りのお菓子を美味しかったって言われて嬉しかった。誕生日プレゼント渡されてとっても……凄く嬉しかった。花火大会で浴衣似合ってるって言われて嬉しかった……。


 全部嬉しかったんだよ……。


「……っ」


 震える両手でゆっくり顔を覆うと嗚咽した。


「……めん…さい……。橘……ん……ごめん……なさい」