橘さんを振っといていつも通りに接する事なんて出来ないのに……。


 もう前の様な関係には戻れないのに……。


 それも分かって答えを出したじゃない。それなのに寂しい気持ちになるなんて……図々しい……。


 鞄をギュッと掴みロッカーを勢いよく閉めると、急ぎ足で待ち合わせ場所へ向かった。


 待ち合わせ場所の居酒屋に行くと外で黒田さんが待っていた。


「お疲れさま」


「お疲れさまです。すいませんお待たせしてしまって」


「気にしないで。じゃあ入ろっか」


 黒田さんが笑顔で言うと「はい」と頷いて、黒田さんに続いて店に入った。