祐子さんの言葉に鞄を取ろうとした手が止まる。


「いえ……まだ……」


「そう。今日赤崎くんに飲みに誘われたんだけど、矢野さんは行かないって言っとくわ」


「――え?」


 思わず祐子さんを見ると、それに気付いた祐子さんが私を見る。


「なに?黒田さんと予定あるから行かないでしょ?」


「……うん……」


 何だかわからないけど胸がざわつく――。


 残念がってるの?私……。皆と飲めないこと?……それとも――。


 着替え終わった祐子さんがバタンとロッカーを閉めた音にハッと我に返る。


「じゃあまた明日ね」


 そう言うと、祐子さんは帰って行った。