矢野さん

 部屋を出て襖を閉めるとお手洗いがある方へ向き直る。


 ――!!


 その時、思いもよらない人物が目の前に立っていて驚愕した。


 相手も酷く驚いた様子で固まっている。


「矢野さん……」


 驚きと共に心臓が壊れるんじゃないかと激しく打つ鼓動で、頭が真っ白になる。


「橘さん……なんで……」


 目を丸くして固まっている矢野。


 その隣には――知らない男……。


「矢野さんの知り合い?」


 そう男が矢野に尋ねると「あ、えっと……」と動揺して目を泳がせる。


 ああ――こいつか……。


 矢野の好きな人って……。