矢野さん

「なんでそんな事聞くんですか?」


 話していない事をなぜ祐子さんは知っていたかの様に、橘さんの名前を出したのか知りたかった――。


 お茶を飲むマグカップを持つ手に思わず力が入る。


「どうしてって、矢野さんはどうおもってるのか知らないけど、橘くんは矢野さんの事好きなんじゃないの?」


「だからなんでそう思うんですか!」


 思わず声が大きくなった。


 動揺してる――凄く。わからない――。けど、胸が苦しい……。


 それを悟られたくなくて、驚いて私を見つめる祐子さんから目を反らした。


 するとハァっと祐子さんのため息が聞こえた。


「何苛立ってるの?」