矢野さん

「はぁ?証拠あんの?こっちは完全にボコられてんだぜ。捕まるのはそこの優男だろ」


 そう言うと、ハハと目を細めて笑う。


 くそ……クソ――!!


 握りしめた手が震える……。


 爪が食い込んで鋭い痛みが走る――。

 悔しさからギュッと目を閉じると項垂れた。


 その時――。


「ある……。証拠」

 ――え?


 矢野の声に項垂れたまま閉じていた目を開けた。


 後ろにいる矢野にゆっくり顔を向けると、少し怯えている様だがその顔はしっかり男を見据えていた。