矢野さん

 気づけば倒れ込んだ所に馬乗りになり、反撃を与えないままアイツの顔をただひたすら殴り続けていた――。


 コイツが元カレだった事……。


 こんな奴に矢野が惚れた事。


 コイツが矢野を泣かせた事。


 こんな奴と矢野が一度でも関係を持った事……。


 すべて……すべて――!


 赤く腫れ上がっていく男の顔に血が混じり出す。


 ああ……頭が回らねー。


 幾ら殴っても気持ちが治まらないのは何でだ……。


 殴る右手ばかり痛みが増えるのは何でだ……。


 痛てぇ……。


 痛てぇよ………。

 何でこんなに……
 



 苦しいんだよ!!