矢野さん

「前にまたアイツと会ったんだ。その時にアイツが言ってたんだよ」


 そう言うと、矢野の俺を見つめる瞳は更に大きく見開いた。


「矢野さん。なんでアイツに金渡してんの?アイツは矢野さんの何?」


 驚いて固まっているのか、俺の腕を掴んでいた矢野の手から力が抜けていくのがわかった。


 向き直ると矢野の肩に手を置く。


 だが矢野は唇を噛み締めて俯いてしまった。


「アイツに脅されてるのか?何があった?」


 完全に俯いてしまった矢野に語りかける。


「……橘さんには……関係ありません」