矢野さん

「はぁーー!はぁーー!」


 久しぶりの全力疾走に息が上がる。掴んだ矢野の手にまだお金があるのを確認すると、男を睨み付けた。


 男は不機嫌そうに俺を見る。


「なんだ。お兄さんも来てたんだ」


 そう言うと、鼻で笑った。


「あ、そうそうこの前の件考えてくれた?」


 男はあざ笑いながら一歩俺に近づいた。


「ふざけるな。手を組むわけないだろ。お前となんか一緒にすんな」


「あっそ。いい話だと思ったのに」


 男は俺から視線を外すと小さくため息を吐き矢野を見た。