矢野さん

 ――!?


 矢野しか見えてなかったが、矢野は誰かと一緒にいる。


 矢野の後ろ姿から垣間見えた顔に思わず目を見開いた。


 その時――


 ドンドン!!


 後ろの河川敷の方から花火が上がった。


 花火の音にハッと我に返ると矢野の元に駆け出した。


 アイツ――!!


 手を力一杯握りしめ、ギリッと歯を噛み締めながら全力で矢野の元に向かう。


 今まさに矢野がアイツの欲しがる物を渡そうとしている。その手を、制止するように勢いよく掴んだ。


「――きゃ!!」


 驚いた矢野が身体を強ばらせ短い悲鳴をあげた。