矢野さん

 何か矢野と話をしたいが……何を言っていいかわからない。


 矢野も特に話しかけてくる事もなく、ただ前を見て歩いているだけだ。


 折角浴衣を着ているんだし誉める所あるだろ!?言えよ俺!


 グッと唇を噛み締めると矢野を見た。


「浴衣可愛いね。似合ってるよ」


 少し笑って言うと、矢野はチラッと俺を見ると直ぐに前に視線を戻した。


「ありがとうございます……」


 無表情のまま前を向いて矢野が言うと再び黙々と歩く――。


 はい。会話終了――。


 嫌われっぷり半端ねー!もうこれは矢野の『一番嫌いな人ランキング』では1位かもしれない……。

 なんだ……もう俺矢野の心の隙間にいるんじゃね?


 ハハ――やった……涙でそう。