矢野さん

 酔った勢いもあるのだろう……思わず男に掴みかかりそうになった――。


 だが嫉妬自体、俺を嫌う矢野からすると迷惑な事なんだろうな――。コイツに嫉妬する権利なんて俺にはない……。


 そう思うと、握り絞めた手をゆっくり緩めていった。


「矢野さんとは友達なのか?」


 未だ可笑しそうに口に手を当てククッと笑う男に訊ねる。


「あー……友達以上恋人未満って関係かな~」


 男はニヤリと笑い目を細めた。


「……」


 意味ありげにほくそ笑む男を睨むように見る。


 コイツ……わざとはぐらかしてんのか?


 それとも――本当にそんな関係なのか……?