矢野さん

「あ、来たみたいですね」


近づいて来たタクシーに気がつくと矢野は車道に近づき手を上げた


矢野の前でタクシーが止まる



「……じゃあご馳走様でした。おやすみなさい」


矢野は俺に軽く頭を下げるとタクシーに乗り込み帰って行った


「……」


矢野が乗ったタクシーが見えなくなるまでただじっと見つめていた


暫く佇んだ後、ゆっくりとした足取りでアパートへ向かう


赤崎に感謝だな……


とぼとぼと歩きながら夜空を見上げた


街の明かりも殆どなく雲もない夜空は星の光を一層輝かせている


――赤崎が祐子さんと連絡を取ってなかったら今日の集まりはなかったわけだし。


たまに思う事がある


この世の中は必然的に決まっているんじゃないかと……


別れも出逢いも――決まっていて


矢野と出逢ったのも必然じゃないのかって