矢野さん

「私、タクシーで帰りますけど祐子さんも乗っていきますか?」


「ううん。お金かかるから電車で帰るよ。まだ終電までに間に合うし」


「あ、じゃあ俺送って行きますよ」


赤崎が祐子さんにそう言うと「ありがとう」と笑っている


――そっか


矢野はタクシーで帰るのか……


もう少し一緒に居たいという気持ちがあったが……仕方ないか――


少し離れて携帯でタクシー会社に電話をしている矢野の後ろ姿をぼんやり見つめていた


電話が終わって矢野が戻ってくると俺達に先に帰るよう言ってきた


「20分ほどしたら来るみたいなので気にせず先に帰って下さい」


それを聞いた俺はラッキーと思った


あと20分矢野と居れるチャンスだと


「一人で待つのも危ないし俺残るから、赤崎達は帰っていいよ。早くしないと終電間に合わないし」


「そうね。橘君がいるなら大丈夫だね。じゃあ矢野さんまた明日。行こ、赤崎君」


祐子さんがそう言うと赤崎と一緒に駅の方向へ歩いていった