矢野さん

「それ……」


矢野の声でふと我に返る


向かいにいる矢野と目が合った


「そのネクタイ使ってくれてるんですね」


恥ずかしそうに言うと俺からネクタイへ視線を移す


「あ、ああ。結構気に入ってるんだ。それに今日このネクタイお洒落だって言われてさ」



ハハっと笑うと矢野も「よかったです」と、嬉しそうに笑った


――あれ?今渡すチャンスじゃないか?

赤崎と祐子さんは二人で何やら盛り上がって話をしているし


矢野も機嫌が良さそうだ


そう思うと白い袋に入った小さなケーキ箱を矢野の前に出した。