矢野さん

 ある意味気になる存在の矢野の観察が一先ず終わると、テーブルに置いていた煙草を手に取り火をつけた。

 すると――。

「あの」

 不意に向かいから声がして目を向ける。

 その向けた視線の先には怪訝な顔をした矢野。

「煙草吸われるのなら周りの方に吸っていいか確認して頂けませんか?それが喫煙する方のマナーじゃありません?」

 は――?

 思いもしない矢野の言葉に目を丸くする。

 初めて発した言葉がまさか俺への注意?

 なんだコイツ?

 トゲがある言い方と睨む様に見てくる矢野にさすがに苛ついた。

 が、そこはイケてる俺。ポーカーフェイスで対応。