気がついたらもう空が暗くなりかけていた。


多分、私ひどい顔してる。


「はぁ……」


小さくため息が漏れた。


疲れたのかもしれない、ずっと泣いてたから。



長い坂道を帰る。


奏と来たときも長く感じたけれど、それ以上に長く感じる。


上ってきたとき、暑かったけど奏と話した他愛もない話は楽しかった。


今なら率直に言える気がする。


「ありがとう」って。


何に対しての「ありがとう」なのかよく分からないけどただ、そう伝えたい。


目頭が熱くなって、また涙が溢れそうになった。


「バカ…」


奏がいなくなってしまうわけでもないのに。


また明日会えるんだもん。


伝えられるかな?


この気持ち……








「よし。」


私は涙をふいて前を向いて歩いて行った――