ゴーン ゴーン

鐘の鳴る音で僕は目をさました。 気がついたらすでに授業は終わっていて、辺りを見回すと僕以外、誰一人教室には残っていなかった。


そりゃ、そうだろうな。


たぶん皆今ごろは、家の手伝いなんかをしているのだろう。 ……偉い偉い。

僕は、わざとらしく大きな音をたてて椅子から腰をあげた。


「……ハァ」


立ち上がった僕は、自分のロッカーからカバンを出して、今日家に持って帰る教科書達を詰めこんだ。

カバンを持って、教室から出ようと思ったところで足を止めた。 日誌を書いてないということを思い出したのだ。

日誌にでかでかと暇だったと書き、担任の机の上に置く。そこら辺の奴なら、後でお呼び出しをくらうレベルだが、僕の場合はそうはいかない。

なぜなら、僕の家はいわゆる''金持ち''だからだ。 担任も、校長ですら僕の親には口を出せない。 ……金ってこわい。