「う…ぁ…」
痛みで顔が歪む。
膝から崩れ落ちてしまった。
目の前がグラグラ揺れている。
これは、ヤバい。
「なん、だよ…これ…」
朦朧とする意識の中、もう一度ゆっくり本殿を見る。
あれは…?
男の子と女の子が笑いあっている。
向き合いながら、とても楽しそうに喋っている。
どんな話をしているんだろう?
男の子がこちらを向いた気がした。
耳鳴りと共に、聞こえた。
「僕が守ってあげるからね」
「私はずっと傍にいるよ」
「「約束っ!」」
これは錯覚?
それとも夢?
僕は誰の何を見ているんだ?
意識が更に朦朧としてきた。
「ゆうちゃん」
あぁ…またあの時の声。
優しくて暖かい声。
気持ちがいいな…。
女の子が駆け寄ってきた。
僕に手を差しのべる。
君が、あの声の…?
その顔を見ようと上を向こうとした。
「優人さん」
